株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
2024年3月期は、経済正常化に伴う個人消費の伸びやインバウンド消費の拡大がみられるなか各事業の効率化に取り組み、前期に比べて損失が減少する結果となりました。
当社グループは「お客様第一」「品質本位」の経営理念のもと、3ヵ年の中期経営計画「革新と進化」を策定し、中長期の視点で利益を生み出せる企業グループへの進化に取り組んでおります。
事業環境は依然として先行き不透明な状況ではありますが、2024年6月27日開催の株主総会で刷新された取締役会を中心に、グループ一丸となって一層の業績改善に尽力し、株主価値の向上に努めてまいります。
株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症の影響からの経済活動の正常化が着実に進み、緩やかな回復基調が続きました。一方で、不安定な国際情勢に伴う資源価格の高騰や円安方向への為替変動が仕入コストを増大させるとともに、国内物価の上昇を引き起こし消費マインドに影響を及ぼしており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
衣料品業界におきましては、経済活動の正常化に伴う人流の増加や円安を背景としたインバウンド需要の増加などによって需要の回復がみられた一方で、秋冬商戦の立ち上がりにおいては平年より気温が高く推移したことによって重衣料の動き出しが遅れるなどの厳しい状況もみられました。
衣料事業においては、小売部門の需要回復にともない売上高が増加したことに加え、不採算店舗の撤退や値引き販売の抑制などによって収益性が改善し損失減少となりました。小売部門の主力ブランド「ニューヨーカー」は2024年1月にブランド設立60周年を迎え、関連商品の企画や特設サイトの開設を通してお客様との関係強化に取り組んでおります。ライセンスブランドである「ブルックスブラザーズ」は旺盛なインバウンド需要を取り込み持続的な成長を実現しております。また、中国子会社においては事業の一部撤退や事業内容の変更などの事業構造改善を実施いたしました。
不動産賃貸事業においては、商業施設の来館客数の回復などにより売上高は増加しておりますが、前期末から実施している保有資産の組み替えの影響により当期は一時的に利益が減少いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は28,697百万円(前期比1.7%増)、経常損失は336百万円(前期は経常損失378百万円)、法人税等調整額△935百万円などを計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は291百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益6,757百万円)となりました。
強固な利益体質を構築し株主の皆様への適切なリターンを行えるよう、「革新と進化」をテーマとして2027年3月期に至る3ヵ年の中期経営計画を2024年5月20日に公表し、2027年3月期に連結営業利益15億円、ROE8%の達成を目標としております。
本中期経営計画においては、事業ポートフォリオの刷新として当社グループの各事業の成長性と利益率および外部環境を踏まえて、成長させる事業と縮小させる事業を明確にし、利益率・成長率の高い事業に注力することとしております。
衣料事業においては、小売部門では売上高が伸長しているブルックス ブラザーズのさらなる成長に向けて、ご好評いただいているコラボレーション企画の推進に加え、高付加価値商品の品揃えの拡充やECへの投資促進を実施いたします。売上成長率が低下しているニューヨーカーについては、発注精度向上システムの導入や海外生産業務の直接化、物流の効率化の推進などのサプライチェーン改革によって利益率の改善を図ります。
製造部門においては、イタリアでファッションウェアとスポーツウェア向けの素材を製造するポンテトルトの成長に注力し、同社が開発し高い評価を得ているリサイクル素材や生分解性素材の販売拡大に取り組んでまいります。
不動産賃貸事業においては、高い利益率が安定的に継続している小田原の商業施設ダイナシティについては引き続き地域密着型の商業施設としての役割を果たしてまいります。ダイナシティ以外の賃貸用不動産についてはグループ全体の資金需要に応じて柔軟に検討してまいります。
以上の取り組みに加え、中期経営計画の進捗についての開示を中心にIRにおける情報提供を強化することで企業としての透明性の向上に努めてまいります。
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